「為替」って何ですか？

テレビのニュースやネットで「為替」という言葉がよく使われていますね。
「為替」と聞くと、 “1ドル＝○○円”といったレートのことをイメージする方も多いかもしれません。

そもそも「為替」とは、直接現金で支払わずに手形や小切手などで支払う方法のこと。
その手形などの総称を「為替」と言います。

「為替」を利用することで、遠く離れていても直接現金を輸送することなく支払うことができ、盗難などのリスクを避けることができます。
為替は、現金と手形を交替させることから、「かわす（交わす）」から変化してできた言葉。

「為替」と書いて、「かわせ」と読むのは江戸時代からあったようです。
江戸の商人が大坂の商人に代金を支払う場合、現金で直接支払うのでは長い道中盗難などのリスクが心配です。そこで、江戸の商人は両替商に代金を渡して為替手形（支払いを依頼する証書）を発行してもらい、その手形を受取った大坂の商人が両替商に持って行き、代金を受取るということが行われていました。
為替は、売買代金のやり取りや資金の移動の際、現金を持ち運ぶことなく安全に行うシステムなのです。

現在、私たちは支払いや送金のための銀行振込や、銀行口座からの引落しなどは直接現金を送ることや持ち運ぶことなく簡単にしていますよね。
この振込や口座振替も実は為替取引の一種です。
国内で行われる取引は「内国為替」→「内為（ないため）」とも呼ばれます。

実は、クレジットカードも為替のひとつなんですよ。
そもそも「クレジット」とは「信用」という意味。
私たちがお金を支払わなくてもカードで買物ができるいわゆる信用払いのひとつです。
クレジットカード決済は、私たちの代わりに店に支払いを行ったカード会社が、私たちに対して支払い請求するという形になります。
この決済も現金を介さずに支払いをする「内国為替」なのです。

一方、外国との為替取引は、売り手と買い手が異なる通貨を交換する取引のことです。
外国の通貨との間で行われる取引を「外国為替」→「外為（がいため）」とも呼びます。
「米ドルから円、円から米ドル」や「ユーロから円、円からユーロ」「米ドルからユーロ、ユーロから米ドル」のように互いの通貨を交換します。

異なる通貨の交換が必要となるのはどんな時でしょう？
例えば、海外旅行に行く際に銀行で円を外貨に両替するケース
輸入を行う業者が海外との代金決済のために円を対価に外貨を調達するケース
国内の投資家が外貨建て金融資産を売買する際に円と外貨を交換するといったケース
などのケースで、各国の通貨を交換（売買）する場として「外国為替市場」があります。

「市場」といっても、特定の場所や建物があるわけではありません。
特定の枠組みの中で行われる取引全体を示す抽象的な概念です。
多くの取引は電話や電子機器を通じて世界各国で行われており時差の関係で24時間、世界中のどこかで取引が行なわれています。

通貨にはそれぞれ価値があります。
そして、その価値は社会や経済の動きによって常に変動しています。
1ドルを120円で交換できる時もあれば、160円で交換できる時もあるわけです。

でも、なぜ通貨の価格は、上がったり下がったりしているのでしょうか？
それは、売りたい人と買いたい人の人がいて、その量に差があるからです。
「需要と供給」はなかなかイコールになりません。

例えば、ある商品を欲しい人たちが沢山いれば、自然とその商品の価格は上がります。
逆に、商品を欲しい人たちが少なければ、売れないためその商品の価格は下がってしまいます。

各国の通貨は常に売り買いされているため、ある通貨に人気が集まれば、その通貨の価格は上がりますし、人気が落ちると価格が下がることもあります。
その状態を表しているのが、“1ドル＝○○円”と表示される為替レートなんですね。

外国為替は金利や世界情勢、社会の動向の影響を大きく受けるものですから、日々の生活にも密接に関わってきます。
海外旅行に行かなくても、ガソリンや輸入食品の価格などにも影響します。
外国為替にも興味を持って生活することは、穏やかで豊かに暮らすためには必要なことだとここ数年の円安で痛感しています。

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